回想回帰 14
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「でもね、その人のことを恨んでる訳じゃないよ?
子供がほしいと思うのは普通のことだから。
それに最後まで優しくしてくれたから…わたしは…わたしは…。」
「…もういい、もういいよ。」
エルフィの大きな瞳から涙が零れる二秒前、彼女の言葉を遮った。
できることなら…零れる涙を止めてあげたい。
でも俺はなにをすればいい?
人付き合いが最近めっきり減ったせいで、こういうところに気が利かない俺が嫌になる。
今はただ震えるエルフィの背中を無言で抱き抱えることしかできなかった。
しゃくりあげが治まると、エルフィはまたしゃきっとした顔に戻った。
女の子って強いよな。結局は自分でおさめてしまえるんだから。
でも俺はエルフィがその目の周りの赤い笑顔の裏に隠れる彼女の疲弊しきった心に気がつかないほどつまらい男ではないつもりだ。
エルフィがまた何かを言おうとするのを優しく促した。← | →
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