回想回帰 13
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぽつりぽつりとエルフィはしゃべりはじめた。
「中等部を卒業してから、専門学校へ行ったのは本当なの。その後デザイン系の仕事に就いたのも。
嘘はそこからなの。もう五年も前から。
仕事先でね、同じように働いてる男がいたの。半年くらいかな、同じ担当になってけっこう近い感じになってたの…」
「そいつは……?」
「うん…わたしの夫のモデル。今はもうどうでもいい…と言うより何してるか知らない。
けどそのときは…お互いに惹かれてたんだと思う。それで…その…」
「あぁうん、言わなくても分かるよ。」
「…うん…ありがと……。でね、もし子供ができたら結婚しよって言われたんだ。」
「……。」
「でもね、何度か…か…体を重ねてみたんだけどね、子供…できなかった。」
「…!!それは…」
「うん。わたし子供ができない体みたい。」
「……。」
何とも言うことができない。
慰めるのも、励ますのもなんかどれも言いたいこととなんか違うし、それに…それに…エルフィが結婚してなかったという事実に少しばかり喜んでいる不謹慎な自分に嫌気がさしたというのもあるのだろう。
「それで…、そいつとはそれきりに?」
「うん。なんか会社に居づらくなっちゃってわたし辞めちゃったから。」
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