回想回帰 12
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俺のすぐ側で赤くなった目をこすって鼻をすすっているエルフィがたまらなくいとおしく感じる。
いや、ダメなんだろうな。
第一、人妻だ。
俺にそんな趣味はない。
「ねぇ、聞いてくれる?」
唐突にエルフィがしゃべる。少ししゃっくりあげが残って上ずった声。
「ん、なにをだ?」
「私の嘘。ヴァンくんに話したい。」
「ああ、いいよ。俺でいいなら。」
抱きしめたい衝動はとりあえず置いといて、今はゆっくりエルフィの話を聞こう。
いきなり抱きしめてもエルフィはそれがなんなのかわからないだろうし、俺も勘違いされてこのまま黙りこくってエルフィの家出が終わるまでなのは嫌だから。
しかし、エルフィの話は俺の気持ちをあざわらうかのようにおっきくて、俺らの関係をひっくり返すものだった。← | →
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