回想回帰 9
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「うっわー…広いね…!」
「そうか?」
彼女のその巨大なボストンバックのせいで街中を歩くのは無理があるから、とりあえず家に戻ってきた。
「部屋は一室開いてるから好きに使えよ。」
「どーもっ!」
がらがらとローラーの音を響かせながらエルフィは部屋に入っていった。
さてと、飲み物くらい出さないとな。
冷蔵庫から冷えたアルコール濃度の低いチューハイ缶を取り出しエルフィがいる部屋に向かう。
ガチャ…
「入るぞ…?」
ドアを開くと、そこには無造作に開かれたボストンバックと、窓の外を向いて床にポツリと座る彼女がいた。
声をかけようとしたが、エルフィの様子がおかしい。
ぶつぶつと1人で何か呟いている。
「…さい…ごめ…さい…ごめん…なさい…さいご…なさい…」
「どっ、どうしたんだよ!!」
「ヴァンくん…ごめんね…わたし…わたし…」
こちらを向いたその顔は涙でぐしゃぐしゃだった。
前足に握られていたのは…鈍く光る…ナイフ。
「落ち着けっ!!何があったんだ!!」
「わたしは…嘘つきなの…ぜんぶ…ぜんぶ…」
「なんのことだよ!ほら、ナイフを放せ!」
俺はエルフィからナイフを半強制的に奪った。
「いやっ…わたしは…わたしはっ!!」
どんっ、と俺を押し退け、エルフィは走って出ていった。
意味が分からない…彼女に何が…
ふと、開け放たれたボストンバックを見ると、その中には…
大量の…荷物の半分以上を占めた手紙が。
封をこじ開け、そこに書かれた文字をみた。
「こいつは…」
ヤバい、エルフィはどこだ?
← | →
[
TOP ]