回想回帰 5
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「ところでエルフィはどうしてこの街に来たんだ?」
重くなった空気を少しでも変えようと話題の転換を図る。
エルフィは窓からビルとビルの間に隠れた空、あいにくの曇り空を遠い目をして眺めて、ぼそっと言った。
「ヴァンくんに会いに…。」
「は?」
すると外に向けていた顔をこちらに向け、呆けた顔の俺を見、にたりと笑って
「う☆そ。ふふっヴァンくんたら昼間から彼女一人も連れずに街なんかぶらぶらしててさ、偶然に感動する間もなくついちょっかい出そっかなって思っちゃった。」
「わ、悪かったな…彼女の一人もいなくて。」
「あらまー、やっぱりいないんだ〜。悲惨。」
「こいつっ…」
「ま、ヴァンくんらしいね。そゆとこ嫌いじゃない。」
「あのな…。」
エルフィはぐぐっと少し冷めたカフェオレを飲みほし席を立った。
「もう出るのか?」
「うん、そろそろ帰らなきゃ。」
「そっか。あ、俺がおごるよ。」
「ホント!?サンキュ〜、今ちょうど金欠なのよ。」
「金欠って…」
店を出、曲がり角でエルフィと別れた。
久しぶりだな、『またね。』
来週にも彼女と会う約束をした。
…よし、次にはもっと面白い話ができるよう頑張ろう。
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