回想回帰 4
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「じゃあさ、ヴァンくんは何してたの?」
俺は…と話し始める。
中等部を卒業した俺は、漠然としたものだったけど、何か、自分の可能性を信じてやってみようと思った。
手につくもの全てに手をつけ、今の職に就いた。
職場でも一生懸命働いた。仕事馬鹿なんじゃないかってくらい働いた。
いつの間にか俺は専務になっていた。
個室を与えられ、椅子に座って判を押したり部下の話を聞いたり。
25で専務は極めて珍しいが、会社での俺に対する評価はそれなり高かった。
しかしその時俺は空っぽで、夢を抱いていた俺はどこに行ったんだろう?
俺の夢はこんな椅子に腰かけることだったのか?
半疑問系で俺は10年間の語りを終わらせた。
エルフィは黙ってしまった。
「ははっ、ごめんな、つまらない話して…」
そうだそうだ。こんなとこでエルフィに愚痴を言うなんて俺はどれだけ空気の読めないやつなんだろう。
「わたしと同じだ…」
しかしエルフィは微かにそう呟いた。
「ん、どうかしたか?」
「ううん、なんでもないよ。」← | →
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