回想回帰 2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・昼過ぎに仕事を終え、帰宅してもすることがないので、仕方なしに街を巡る。
ビル群を見上げ、初めて来たときには、これら全てが輝いて見えたんだなあと、1人呟いた。
その時だった。
さっきまでそこにあった筈のコンクリート密林が消え、世界は暗転した。
真っ暗だ。
もしかして世界の終り?
まぁ、それも悪くない。
「だーれだ?」
俺の視界を暗転させた犯人が問いかける。
俺の知り合いを思い浮かべて記憶をさかのぼってみても、この瞼をおさえる前足の感触と落ち着いた大人の女性の声のトーンの持ち主は分からない。
「誰だよ。」
降参を表すために両前足を上げて犯人に聞き返す。
「答えは…わたしでした!」
「お前は…?」
前足をひらひらさせておどけた様子をみせるエーフィがいた。
俺の知り合いにエーフィはいなかったはずだ…
だとするともしかして…
「エルフィ…か?」
「あったり〜!!ヴァンくんよく覚えててくれました!」
「確か最後に会ったのはイーブイのときだったよな。」
「そうそう、中等部の卒業式からずっと会ってなかったもんね!」
「そんなに昔だっけ?」
「やだ、まだ私たち25でしょ?」
「10年も前だろ?」
そう、エルフィとは中等部からの同級生だった。
「あっホントだ〜。時間あるよね?せっかく会ったのに立ち話もなんだから喫茶店でも寄っていかない?」
「それもそうだな。行き付けがあるからそこでもいいか?」
「もっちろん!」
級友を連れて、ここから少し離れた喫茶店へ歩いた。
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