18禁(表) | ナノ




純愛さながら 1


ムラムラっとくるのはいつも唐突だ。

その時もバシャーモは、ただぼんやりとルカリオの横顔を見ていただけだったのに、何の前触れもなく足の裏から震えがきてしまった。
背徳感を孕んだ痺れは、腰骨を伝って脳天を揺らし、そしてあらぬところへ熱をもたらす。

バシャーモはぶるっと身震いをした。
一度これがきてしまうと、もうダメだ。
なにがなんでも我慢がきかない。

ルカリオがそこにいるというだけで、たまらなく欲情してしまう。


「ルカリオ」


バシャーモは手を伸ばし、テレビゲームに熱中している恋人の首へ、後ろから抱きついた。


「わっ!」


ルカリオが小さく叫び、同時に画面からキィッと派手な音がする。
順調に走っていたレーシングカーが一回転して、あっという間に海に落ちてしまった。

聞き馴染みのある間抜けなBGMが流れ、暗転した画面に「GAME OVER」の文字が浮かんでくる。
それらをぽかんと眺めていたルカリオは、しかしはっと我にかえると、勢い良く振り返り、己の邪魔をしてくれた元凶を強く睨みつけた。


「バシャーモ!」


はっきりと怒りのこもった口調と視線だったのに、バシャーモは全く懲りていないような明るい声で「あのね、」と続けた。


「したいんだ、ルカリオ」


懇願するような、あるいは恍惚とした目つきだったかもしれない。
ともかく彼の瞳は甘ったるくて、ルカリオはつい鼻白んでしまった。
目の前の男は、いま、なんといった?


「聞き間違えだったら悪いんだけど」


ルカリオは、丁寧にそう断ってから訊ねた。


「ここはどこ?」

「俺の部屋」

「今何時?」

「昼の二時」

「今なんて言った?」

「セックスがしたい、ルカリオ」

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