無垢な悪役 8
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「…で、こんなオチなわけですよ」
うっうっ、コノエは泣いた。
腰を痛めてミソノ宅で寝込んでいるという話をどこかからか聞いてやってきたミナリはどう言ったものか、非常に対処に困る顔をした。
ミナリの顔を見るなりコノエはそう言ったのだ。
話がさっぱり見えない。
「ミソノ、お前なにやらかしたの?」
「え?僕がコノエに何かするとでも思ってるの?」
いやぁ、しないとコノエこんな事にならないと思うんだけどな、俺は。
だが、こっちにガンつけてくるミソノにそのままぶちまけるのはまずい気がしてミナリは口を噤む。
代わりにというようにコノエを見やると、切々と腰の痛みを訴えている。
「ミナリさんのせいです…」
「ちょ、俺何もしてないじゃん!!」
コノエの発言にミソノが睨むのだ。
ギッ!と!キッじゃない、ギッ!だ。
刺し殺されそうだ。
なんて濡れ衣。
「うぅ、食べたかったのに、見たかったのに…」
かくり。
ミナリに伸ばすようにして持ち上げられていたコノエの手が力を失いベッドに落ちた。
全くもって平和な日曜だった。
END.
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