無垢な悪役 3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「…失礼します」
そこで勝手に中に入ると、ミソノはベッドに本を広げてぱたりと倒れていた。
規則正しく上下する胸。
穏やかな寝顔。
待ってる間に眠ってしまったのか。
珍しいこともあるものだ。
ここのところ、激務だったのかもしれない。
であれば、大人しく寝かせてあげるのが良かろう。
ミソノは大人しく寝ていれば安らかな顔をしており非常に可愛い。
微笑ましい気分で散らばってる本をまとめてベッドサイドに置き、毛布と掛け布団をかけてやる。
その横に滑り込んで、おやすみなさい、と呟いてその額にキスをしてやる。
毎晩こうなら平和なのに!
力強くそう思いながら瞳を閉じると、いやいや、そうじゃないだろうと何かが突っ込んでくる。
いやいや、これでよいでしょう!
なんて平和!
腰死亡フラグの無い生活ばんざい!
脳内で会議が始まる。
ミソノさんも疲れてるみたいですし、襲い掛かって目が覚めたら私に突っ込まれてるとか言う不憫フラグ回避でいいじゃないですか!
え、突っ込むのあなたなの。
いやいや、そうじゃなくてだね。
脳内会議の結末は、次の一言で決定した。
どっちにしろ、今やるか朝やられるかだよね!
「…そーでした。そうでした」
がばり、布団を跳ね除けるようにして起き上がる。
明日の朝は、観光に行く予定なのである。
ミソノにしないという選択肢は無い。
体験済みだ。
どんだけ疲れていようとも、やられる。
後で絶対やられる。
今しなければ朝起きたときが危うい。
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