無垢な悪役 2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんな事があったその日の晩、コノエはスリッパを履いてうんうん唸りながらミソノ宅を徘徊していた。
無いわ、と思ったものの、ミナリに言われた言葉が頭をくるくる回る。
満足。
誘えばいいとミナリは言うが、コノエから誘う必要も無いくらい大暴走なミソノにそんな事言ったら間違いなく死亡フラグだ。
しかも、すごい恥ずかしい。
いや、分かってはいる。
分かってはいるのだ。
男なら可愛い彼女が恥らいながらそんな事言ってきたら間違いなく頑張ると言う事くらい分かる。
だがそこに自分を当てはめたくない。
大体、雄だし、いや性別ないし、可愛くないし。
むしろ言ってもらったほうがいいんじゃないかと思う。
恥ずかしがるミソノさん。
おお!頑張れてしまうかもしれない。
まず恥じるということがなさそうだけれども。
次に、頑張ったところで喰われるのは自分だろう。
誘うのは無い。
無い無い。
では、寝てる間に、となるがそれも無理だ。
だって、ミソノと一緒にいると毎晩する事になるからコノエは毎夜死んだように眠りにつく。
起きれるわけが無い。
起きてもう一回とか、どんな拷問だ。
ミナリもまさか毎晩とミソノが盛っているいうのは想定していないだろう。
さて、どうしたものか。
「ミソノさん」
トントン、と軽くノックをしてドアの前でしばし待機する。
夜もふけて、眠りにつく人の増える時間帯。
なるべく静かに、と思ったが静か過ぎただろうか。
返事が無い。
再度ノックをしてみるものの、返事は無い。
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