無垢な悪役 1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「コノエさあ、ミソノのこと満足させてる?」
ごふ、友人であるミュウツーのミナリの唐突な一言にコノエは派手に噎せ返る。
ままままんぞくってなんですか。
料理か。
胃袋に関しては並々ならぬ情熱でもって満足させてますとも!
「ももももちろんですとも!紅茶の淹れ方もばっちりマスターしてレパートリーも豊富ですデザートだって!」
「わざとそういう方面にもっていかなくてもいいんじゃないかと俺は思うわけですが。わかってるくせに」
ふい、とコノエはミナリから視線を逸らす。
分かっちゃいるが、夜の事情をべろっと誰かに話すなんてコノエにはできない。
ミソノよりはその辺を理解しているのだろうミナリはしょうがないなぁと言うように笑った。
どうせ自分からしたいとか言った事ないでしょ?と余計なお世話だけれども聞かれれば、確かに言ったことなどないコノエはぐっと詰まってしまう。
「そんなんだからアレはあんな暴走するんだよ。ちゃんと満足したら昼はおとなしいって」
あの方満足させるまで頑張ったら私は間違いなく死にます。
なんというか、若いのだ。とにかく、若いのだ。
確か私の方が若いはずなのに。
どうしてそんな体力?としかいえないのだ。
ついていけるわけがない。
ムリムリ、と半泣きになってるコノエにミナリはますますしょうがないなぁと笑う。
「気持ちの問題でしょ、精神的に満足させてあげないと」
「精神的、ですか」
「そう。あいつ、強がるけどえらい寂しがりだろ?コノエから求めて、あいつが必要なのって教えてやればいい」
ほうほう。
頷きそうになって、それをした現場を想像してコノエの顔は真っ赤に染まった。
無理だ!
「むむむむりです!破廉恥です!!」
コノエはこういうところで頭が固い。
ミナリには理解がしがたいくらい奥手だ。
愛し合う恋人の間に遠慮ってどうなの。
しかし遠慮と羞恥心の塊であるコノエには仕方のないことなのだろう。
「んー、言うのが無理なら行動で出るのはどうだろう?」
「行動」
「寝てる間に、襲い掛かればいいんじゃない」
「…それも、人としてどうかと思うんですけれども」
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