捧げた愛の行方 1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・昔、というか学生のときからブラッキーの発育は人並み以上であったことくらい、サンダースも友人も理解していた。
手足がすらりと伸びていたこともあるが、何より彼女の胸のふくよかさは一際目を惹いた。
学生という身分から社会人に変わった今、あのころに比べたらブラッキーの胸は更にふくよかに育っていた。
そしてサンダースは思う。
ブラッキーに向けられる男の性的で醜い視線を排除するのは楽であるが、蛆虫のように湧いてくるそれらを完全に消し去るのは到底不可能だ。
それにブラッキーは自分自身を守る術を知っている、だからいざ何かがあってもサンダースより俊敏にそして確実に対処が出来るはずである。
しかしサンダースは満足しない。
だってそれではブラッキーがサンダースのものになったわけではないし、このどうしようもなく醜い気持ちの捌け口が見つからない。
ではブラッキーがサンダースのものになるにはどうすればいいのか、言わずもがなするべきことは一つしかないだろう。
「おはようブラッキー」
いつもの通りの爽やかな朝になるはずだった。
綺麗に澄んだ青空と鳥が鳴く声そして窓ガラスを介して入り込む日射しにブラッキーが導かれるようにして目を開ければ、自分を見下ろしていたサンダースがにこりと笑んで次いでひらりと手を振った。
ブラッキーは我が目を疑いざるを得なかった。
だってそこには、いるべきでない人物がまるで当然のように在るのだ。
ブラッキーの腰に膝立ちで跨っているサンダースはいつも着用している上着を床に脱ぎ捨て、未だ状況を飲み込めないままの彼女を見下ろしながら、セックスしに来たよと形のいい唇で思わず聞き返したくなるようなとんでもない言葉を口にした。
「なっ…!」
何言ってるの。
言葉にならぬ言葉を喉に詰まらせながら勢いよく起き上がったブラッキーだったが、サンダースがそれを許さなかった。
← | →
[
TOP ]