短編&Cherry | ナノ




リアルな夜の夢 4


「…私たち、おんなじ星に、おんなじ願いごとをしていたんだ」

「…ああ」

「あのさ、スピアー」


スターミーが、俺に触れる。


「…本当はね、今日あなたを誘ったのは、あの頃の願い事を、ちゃんと叶えておきたかったからなの…。そうしたら、スピアーが私の横にいることが、夢じゃないって思える気がして…」

「、スターミー…」

「ね、スピアー、私はいま、すごく幸せ…」


スターミがまたふっと笑った。
星明かりに、黒々とした影を落とす。

胸が締め付けられるような気がする。
ふらふらと、まるで吸い寄せられるみたいにして、俺は彼女に口づけた。

彼女が俺を受け入れる。
何度となく繰り返してきたはずの行為が、この夜ばかりは例えようもないほどに特別な気がして、俺は、多分、酔っていたんだと思う。

ゆっくりと唇を離したあと、スターミーは俺の瞳を覗き込んだ。


「…聞いても、いいかな…」

「なんだろう」

「…さっき、願いごとは二つあるって言っていた。…もうひとつは?」

「もうひとつは…」


呟きながら、俺は眼下のスターミーをじっと見つめた。
薄らと染まった頬。
きらきらと光る瞳。
あのころから変わらない、俺の大好きな、


「きみのその笑顔を、これから先も、ずっとずっと一番傍で見ていたい、さ」

「…やっぱり、私たちは似ているね」


驚いたようにそう言って、それから、彼女は優しく微笑んだ。
その表情が、なぜだか、泣き出しそうにも見えて、


「私も。あなたの一番近くに、ずっといたいと思っていた」




ああ。
もうひとつの願いごとも、たった今叶ったよ。




俺たちは二度目の口づけに瞼を下ろした。


名付けるなら、多分それは、幸せ。



END.


110930


CPリクエストよりスピアー×スターミーのNL。
リクエストありがとうございました!

久しぶりにこんなに甘いの書いた気がします。
書いてて恥ずかしい…。

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