リリーピンクの暖かさ1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続
放課後の秘密続
優しい関係「これ、あげる」
ぽい、とトレイの上に放り投げられたのは可愛らしいクマのストラップだった。
これを私がつけろと?
私につけろと?
そんな眼差しを向けるとセンパイはずずっと、バニラシェイクを啜りながらにこやかに大きく頷いた。
そんなセンパイの携帯のストラップには同じクラスの女の子のようにじゃらじゃらと可愛らしいストラップがいくつも引っ付いている。
「いや、無理。いらないです」
「えー、だってお揃いのが欲しいって言ったでしょ」
「言ったけど、意味が違う!!」
私が言いたかったのは指輪とかネックレスとかもっとシンプルで身に付けられるようなもので。
まあ、ストラップも身に付けられるといえばそうだけれどなんか意味が違う。
もっとこうこんな子供染みたものではなくて大人になりたいの。
かっこよく愛の証、だなんて言ってみたい。
目の前に放られたセンパイなりの愛の証を摘まんでセンパイは頬を膨らませ下唇をつきだした。
あ、可愛い。
「可愛くていいのに。ねー?」
ぷらぷらとクマのストラップを空中で揺らしながら彼に同意を求める。
スワロフスキーだかビーズだか分からない目できらきらと答えた彼を、センパイは自分のストラップ村の中へ迎え入れた。
また携帯がひとつ重くなる。
萎れたポテトを食べて私はストラップも何もついていない自分の携帯を取り出した。
何やらメールが来たらしい。
そんな私をセンパイは怪訝そうな目で見てくる。
今度は一体なに?
「なに?」
「誰?」
「別に」
「本当に?」
「うん」
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