微笑む絵本1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続
抑えきれぬ衝動続
青い感情続
白くて甘い続
糖度はごく高め俺とリード君はよく「もしも」の話をする。
絵本を読むように空想を広げてたまにとんでもない結末になるけれどもそれも可笑しくて楽しくて、俺たちは夢中になって「もしも」の話をする。
もしも二人どちらかが女だったら、二人とも女だったら。
もしもどちらかが今と種族が違っても一緒にいられたのか。
もしもケーキ屋さんを二人でやるなら。
ブランケットを取っ払ってベッドの上に二人して寝転がった。
昼間だからカーテンは閉めずに太陽の光をいっぱい部屋に迎え入れる。
それでも部屋中の電気を消してしまえば中は薄暗くて、でもまるで時間を忘れてしまうような別の空間を作り出していた。
クーラーの音しかしない部屋で、ベッドサイドに氷をたっぷり入れたオレンジジュースのグラスを二つ用意して、俺たちはいよいよだらける体勢に入る。
「もしもだよ、」
そして俺はお決まりの文句のように口にした。
リード君はなんですか?と微笑みながら先を促す。
いつもよりも近くて、いつも通り優しい彼は片方の腕で俺を引き寄せる。
決してやらしさなんてないのに、俺は変な期待をして胸を一つ高鳴らせてしまった。
「もしも明日で地球が爆発したらどうする?」
「爆発しちゃうんですか?隕石とかアルマゲドンみたいな感じじゃなくて」
「まあそれでもいいけど…とりあえず明日が人生最後だったらっていう話」
楽しそうに目を細めて笑うリード君に俺は見とれてしまう。
こんな素敵な人がなんで俺なんか選んでくれたのか分からないけれど、そんなことを言い出したらきっと三日あっても足りないのでもう言わないでおく。
リード君は俺の頭をゆっくりと撫でた。
くすぐったくて恥ずかしいようなその感覚にまだ俺は慣れない。
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