糖度はごく高め6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少し拗ねてそういうと、リードはぽかんと口を開けた。
そして惚けた表情のまま、ムツと紙袋を交互に見る。
「…ムツ君、から?」
「ん」
「…俺、に?」
「ん」
「……」
「…えっと、有名店のチョコ、とはいかないけど。ごめんね、あんまり美味しくないかも。でも上手くいったほうだと思うから」
リードは本当にびっくりしたのだろう、何かを言おうとして、しかしできなかった。
ひゅっと息を飲む音がし、口が金魚のようにぱくぱくと動く。
「…てっ」
ようやく声が出た。
「手作りっ?」
「う、うん」
「た、大切にします、俺、本当大切に食べますからっ!」
べ、別に…とムツは一歩後退り、なんといったら良いかわからずに俯いた。
ただのチョコだし、大切にするとか、おかしいよ、と。
「でも、俺、大切に食べるますから。…だって、ムツ君が手作り、してくれたんでしょう」
「て、手作りって言っても、もう分量が測ってあるやつで、俺は混ぜただけで…全然高くないし、」
「関係ないですよ。ムツ君が、俺のために買ってきてくれて、俺のこと思って作ってくれたんでしょう?世界一のチョコですよ。
俺、すごい幸せものです。いま俺、絶対絶対世界一幸せです」
「お、おおげさ、すぎるよ…」
「そんなこと」
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