短編&Cherry | ナノ




糖度はごく高め1


抑えきれぬ衝動
青い感情
白くて甘い



「ムツってリードにチョコあげないの?」


おもむろにそんなことを訊ねてきた友人であるリザードのレイの、口にくわえられたポッキーのゆらゆら揺れる先っぽをムツは不思議そうに見た。


「チョコ?…なんで?」

「なんでって、もうすぐバレンタインじゃないか」


ぽりぽりとレイは器用に口だけでポッキーをかじってゆく。
右手で新しい一本をつまむと、それをムツに突き立てた。


「ムツはリードと付き合ってるんだろう? あげなくていいの?」

「ええ?」


ムツは丸い目をさらに丸くして、ひとつ瞬いた。
「そうか…」眉を寄せて困ったように笑う。


「考えてなかったや…」

「えー、まさか、バレンタイン忘れてたとか」

「いや、バレンタインだなーとは思ってたよ」

「じゃあ、なんで?」

「だってさあ…」


ムツは苦笑すると、レイの手元からポッキーを一本拝借した。
それをひとくち齧って、呟く。


「バレンタインって女の子のためのイベントじゃないか。俺とは切り離して考えてたんだよね」

「あぁー」


レイは妙に納得して頷いた。
ムツは普段から自分をまわりと切り離して考えているというか、自分のことをあまり意識しないというか、客観的にものごとを見過ぎている面がある。

← |

[ TOP ]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -