笑顔を届けに来ました4
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「意地悪ついでに僕からもうひとつ言わせてもらっていい?」
向けられる目が「なに?」って聞く。
少し睨みも入りながら。
分かりやすいよ、その態度。
ちょっと言いにくくなるじゃないか。
「スミレちゃん最近ね、料理に興味を持ったみたいだよ」
「料理?スミレちゃんが?」
「うん、それでね、いま練習中なのが」
「もしかして、カレー?」
目を開いた彼女は僕の言葉の先をちぎって続けた。
どうやら3日前に頭が繋がったらしい。
あの子が絡むとすごく敏感で繊細になるんだよね。
怖いなぁ、もう。ホント本気すぎて怖いよ。
「カレーの練習してたでしょ?3日前」
「してた…クゥちゃんと」
「どうしてそこは鈍いの?クウヤはただの試食、つまり完成したものはナギが食べれるよ」
「だけど、試食もしたい」
「させたくても、最近ナギ帰りが遅いでしょ?それにスミレちゃんの性格考えたら試食させてくれると思う?」
「思わない」
「でしょ?だから謝るのはナギだよ」
「えー」話を本論に戻せばブーイング。
カフェオレをひと口含んでまた尖らせる唇。
「長期戦にさせるの?」
「…明日、謝る」
確かに納得はできないけれど、謝っちゃえば早期解決。
デメリットの数よりメリットの大きさ優先を。
『最善より最愛を選ぶなら、多少の妥協と犠牲は仕方ない』
彼女のモットーとも言うべき恋愛スタイル。
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