夜空に輝いて
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・昔の人間は何を考えていたのだろう、何を見ていたのだろう。
晴れた日の夜の空を見上げるとそう考えずにはいられない、あの星座を見る度に。
オリオンが人に見えるのは、まぁ分かる。
けれど俺からするとあれは人というより砂時計に見える。
大熊も白鳥も蠍も、どれ一つそうは見えない。
まったく理解し難いと考える俺はイマジネーションに欠けているというか、可愛げがないというか、けれど本当にそうは見えなかった、昔の人間がその名前をつけてしまったことが不思議だった。
「星が綺麗ですねぇ」
「あぁ、そうだな」
「この季節は空気が凜と張り詰めていて、澄んでいて、私、大好きです」
確かにどこまでも透明だ、この国の四季はどれも好きだったが、また季節の変わり目という季節も、どれもが美しかった。
俺にはそう見えた。
俺と同じく人間の姿に変身し肉まんを手のひらに乗せ暖をとりながら空を見上げるメタモンのその横顔は、コンビニで誘惑と戦っていた可愛らしさの影もなくぴんとした弓の弦のような不思議な魅力があった。
今日の月は満月で煌々と明るいが、それでも高い位置にあるため少し目線を上げた場所には確かな光を持って星が見える。
そう、メタモンは目線を少し上げている。
だから俺はバレないようにゆっくりと、心臓の音を気取られないようにそっと、凍えた指先の冷たさを確かめて解すようにぎゅっと、メタモンの手に自分の手を回すことが出来た。
一方に肉まん、一方に俺の手、これでもう寒くないだろうと、ちらりと横を見てくる気配はあったけれど俺は目を合わせてはやらない。
深くマフラーに顔を埋めれば、隣でふと空気が弛緩した気がする。
メタモンが笑ったのだ。
俺はそれが嬉しい。
なぁ、今、俺達はあの星達よりもよっぽど人間らしい形をしているよな。
星だって人や蟹や天秤や、何にだってなれるんだから、俺達だってポケモンだけどきっと人間にだってなれるんだと思う。
もっと自由に輝きたいね。
END.
ミュウとメタモン、本当はもっと前から書きたかった2匹。
本当、化け狐登場前に書くべきだったわ…。
101204
とりあえずこれがフラグだってことを言っておけばちゃんと私は行動に移すんじゃないかな、そうだといいな。
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