短編&Cherry | ナノ




子供めいた自己主張1


「ガーディ、」


私の大好きな彼は、私より本が好き。


「うん」


私の大好きな彼は、本に夢中。


「ねぇ」


私の大好きな彼は、本にとられたまま。


「うん」


私の大好きな彼は、いつもそう。


「ガーディっ」


私の大好きな彼は、分からず屋。


「んん?」


私の大好きな彼は、乙女心が分からない。


「もーっ!」


私の大好きな彼は…






ロコン、15歳。

恋もしてます、勉強も上手くいってます。
勿論、大好きな恋人もいます。

だけど、不満な事がひとつ。


「いつまでも本ばっかり読んでないでってば!」


「んー…」


いつまでたってもその手から本を手放さない恋人に、痺を切らしてついに叫んだ私。
それなのにこの彼は…ガーディは、またいつもの生返事。


(さっきからこれを何回繰り返してると思ってるの!?)


私はイライラ。

でも彼は本をパラパラ。

凄い速さで読んでるみたいだけど、まだほんの序章しか読み終わってない。
辞書みたいに分厚い本。
軽く500ページはあるんじゃないかと思わせるその本は、私と彼の時間を奪う。

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