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やわらかい恋4


ちいさい子に聞くみたいな口調になっていくのは仕方がないってものだ。

だって相手はブイゼルくんで。
今日は、今日こそは辛抱強く対応して聞き出すの。理解しがたいのはきっと私の理解したいって気持ちが足りないからなんだから。



「青春だからね!」


やはり当分理解に苦しむことになりそうだ。
頭のすみっこで思ってなんだか泣きたくなってしまった。ブイゼルくん一体どうしちゃったの。

そんな私のことはお構いなしに、ブイゼルくんはそれはそれはにっこり嬉しそうに笑ってみせる。


「オレがうまく乗れるようになったら、2人乗りして坂を下ろう、ね、ジグザグマちゃん!」


あ。なんとなく、ブイゼルくんが意図したことが、分かったような気がした。

分かったような気がしたら今度はなんだかじわじわと嬉しくなってしまって、ばかだなあと思いながら今度はどきどきとしてしまって、なによもうかわいいじゃないなんて思ってしまう私も相当ばかで、ああきっと私たちは自分たちが思っているよりもいつも青春しているんじゃないかなあ。


(なんて、ね。)




自転車、坂道、ガードレール、2人乗り、夏、海、夕焼け空。

そんなのが、ブイゼルくん的、青春のかたちらしい。


End.


→あとがき



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