やわらかい恋3
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思うんだ!と言われても、はあそうですか、としか言いようがない私はやっぱり理解しがたいことを言い出したなあと半ば諦めのように思った。
頭のすみっこで。
聞いても無駄だとそんなことはわかってはいるけれど尋ねないことにはなんにも分からない。
「えと、それはいったいどういうこと?」
ブイゼルくんはまだ握り拳をつくっている。
目の前にあったはずの顔は立ち上がった所為で今は上にある。
私は見上げる。
するとブイゼルくんはまた座って、それから机ごしに私の肩に両手をぽんと置いてみせた。
「大丈夫ジグザグマちゃん!オレやってみせる、立派に自転車に乗れるようになってみせるから!」
(だから、なんで?)
ブイゼルくんは瞳をきらきらさせている。
いったい自転車がなんだというんだろう。
「ね、ブイゼルくん」
「ん?」
「自転車でなにをするつもり、なのかな?」
「坂をおりるんだ!」
「えと、それはまたなんで?あぶないよ?」
「大丈夫大丈夫、練習するから!」
「…なんで坂をおりたいのかなあ?」← | →
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