やわらかい恋2
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放課後、教室、二人きり。そんな絶好のシチュエーションの中、勉強を教えてもらっている時。
呪文みたいな公式がブイゼルくんの綺麗な声で唱えられていていたと思ったら今度はこれ。
案の定見上げてみれば真剣な格好いいブイゼルくんの顔があった。
(わ、わ。)
「オレ、恥ずかしながら自転車ってあんまり得意じゃないんだよね」
ほらまた私は頭の上に盛大なハテナマークを引き出すことになる。
目の前でブイゼルくんは ううんと唸ってみせた。
唸りたいのはこっちの方。ちっとも話が掴めない。
ブイゼルくんはいつも友達に話の起承転結、主語述語をしっかりつけろ!と言うけれどその台詞を今はそのままそっくり返してやりたい。
そんな私をよそにブイゼルくんは口を開いた。
「乗れないことはないんだけどねー、やっぱり安全を100パーセント保障出来ないしジグザグマちゃんを危険な目にあわせるわけにはいかないでしょ。だから、」
練習しようと思うんだ!と続けて握り拳なんかをつくっている。← | →
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