短編&Cherry | ナノ




優しい関係3


立ち並ぶ本棚の奥の方。

誰もいないとはいえ、なるべく影になる場所を選ぶ。ここは夕暮れ時の弱い光も、あまり入ってこない。

センパイの両肩に手を置いて、壁際の本棚に寄り掛かるように座らせる。


「邪魔になるね」


座った勢いで少しずれた眼鏡を外して床に置く。…ちょっともったいないケド。

少ししゃがんだ私を見上げる、その困った顔。


(あ、なんだかいいかも)


軽く2、3度口付ける。

なされるがままのセンパイからあまり反応がないので、左手を顎にあてて舌を入れる。
舌の先と、下唇が弱いのは勿論知ってる。

少し呼吸が乱れ始めるセンパイを本棚にぐいぐい押し付けて、夢中でキスをする。

センパイの右手はいつのまにか、私の左肩に回っちゃってるし、ね?



薄暗い本棚の間、聞こえるのは二人の吐息だけ。ホントに世界に二人きりみたいだ。
もうかなり暗いけど、お互いの顔が上気してるのがわかる。
噛み付くようなキスの合間に名前を呼び合う。

もう少し。
あと少しだけ…。



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