短編&Cherry | ナノ




隠せない嫉妬心1


せっかくの休日なのに雨だなんて…。

もしかして雨女だったりして、私。



アスファルトに刺さりそうなほどの激しい雨音で目覚めた今朝。

大きな欠伸をしながらリビングに向えば、目に飛び込んできたオレンジジュース。
そして広げられた新聞と先に起きていたスミレちゃん。

新聞から視線を上げた彼女は私に「おはよう」と小さく微笑んだ。

雨の日は無条件でほんの少し機嫌が良い。

だから晴れが好きな私でもうっかり、雨でもいいかなぁ、なんて思ったりもする。


『キライじゃないよ、雨は』

いつだったか今朝のような雨模様で彼女が言っていた。

寒いのが苦手な彼女が雨はキライじゃないよと…つまりそれは好きだということ。
キライじゃない、は彼なりの好意のしるし。
精一杯のライク表現。


『太陽と同じように雨も私たちを生かすからね』

彼女の言葉半分も理解していなかった私も、その言葉を聞いた当時よりは大人になったのか、今だと半分は解る気がする。

だけど、やっぱり半分は解らないまま彼女が想う深層には辿り着かない。

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