短編&Cherry | ナノ




種明かし禁止3


「ちょっと、ケーキ崩さないでよ」

手に握られたままの袋を立ち上がって奪い去る。

「悪いけど、これはクリスマスプレゼントとしてもらうわね、スミレからのプレゼント返しもこれでいいから」

甘いものを食べなきゃ収まりそうにない。
このなんとも言えない空腹感。

喉もカラカラに渇いてココアも飲みたいところだけど、今日はこのケーキ3つで手を打つわ。

「プレゼント返し?スミレちゃん、シュナちゃんから何かもらったの?」

怪しむ視線に答えづらそうなスミレが再び頬を赤くする。
今日はとことん楽しんじゃえ。
2人を見てそう決めた。

「キスしてあげたの」

マフラーを巻き付けながら歌うように口にすれば。

「シュナちゃんっ!!」

悲鳴のような声が部屋いっぱいに広がった。


あぁ、楽しい。
クリスマスもこれぐらい楽しければいいのに。

「じゃあ、お2人さん、クリスマスはコスプレプレイでも楽しんでね」

「シュナっ!!!」

一段と大きな悲鳴が玄関を出た廊下まで届いたのは言うまでもなく。
このあと問い詰める事に必死な彼女と必死に問い詰められ不愉快になる彼女。
想像するとやっぱり胸が弾むほど楽しくなった。


バカなあの2人にクリスマスなんていらない。
クリスマスなんて、クリスマスなんて…。

クリスマスなんて消えちゃえ!



END.



100401

なんて季節外れなクリスマス!

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