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種明かし禁止1


クリスマスなんて消えちゃえ!


クリスマスなんて相手がいる若年層をターゲットにしたただの商戦日じゃない。
クリスマスなんて何の日か知らない子どもにプレゼントを買うバカ親がニセサンタになる日よ。
クリスマスなんて日本のイベントじゃないわよ。
クリスマスなんて、クリスマスなんて消えちゃえ!


今年は例年にないぐらい本気でそう願う。

……嘘。

そう願うのは例年通り。
だけど年々バカみたいな嘆きは増えてゆく。
本当にバカみたい、あたし。


「ねぇスミレ」

「なに?」

「クリスマスはどうするの?」

「大学」

「じゃあ、クリスマス前の休日は?」

「それって好奇心?」

彼女が素直に答えてくれないのは、あたしの性格をよく知っているから。

向かいからの容赦ない構えた視線に、そこまで疑わなくてもいいじゃない、と言いたいのを我慢する。
だってつまらないもの、これで会話終了なんて。
時間はたっぷりあるんだから、ケーキを買ってくるように命じて追い出したあの彼女が戻ってくるまで。

「そう、ただの知的好奇心よ」

「じゃあ私もただの好奇心だけど、シュナちゃんはどうするの?」

「クリスマスに何か特別なことをしなきゃならないなんて、あたしのポリシーに反するわ」

「私もそのポリシーに賛成な人間かな」

「あら意外、真逆なポリシーの持ち主が身近にいるのに」

もちろん不在の彼女のこと。

誕生日は分かるわよ。
だけどクリスマスやバレンタイン、更になんとか記念日。
付き合い始めた日、初めて何かをした日。
『明日はスミレちゃんが初めて好きって言ってくれた日なんだよね』
なんて聞いた時は呆れを通り越してさすがに引いたわよ。

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