Vanilla | ナノ




狂おしい程の、愛


愛してる、と真面目な顔で彼に言ってみた。

彼はビクンと肩を震わした。
信じられない、といった顔でこちらを見ている。


「…か、なで…」


掠れた声で名前を呼ばれた。


「何?」


「なんの、冗談…?」


彼は、私が苦手。
何でって、私が彼ばかりを虐めるから。

(私はそんなつもり、ないんだけどな)

心の中で苦笑い。

いきなり愛してるだなんて言われて戸惑っているのもあるし、私に嫌われていると思っているからだろう。
私が囁く愛の言葉は、彼にとっては嫌がらせに聞こえるらしい。


「ゆうは、私のこと嫌い?」


「…正直、苦手」


「それが答え、だし」


彼は黙り込んでしまう。
嫌われているからこそ、彼を傷つける態度を無意識にとってしまうのかもしれない。


「あ、」

「?」


「もう一つあった」


「何?」


「私はゆうの困ってる顔が、特に好きなんよ」


「…酷いな」


「分かってるし」


「分かってるならやめて欲しいな」


「それは無理、かな」


そう言って彼の身体を抱き締めた。
やっぱり彼の身体は震えていて、私を拒否しているのが手に取るようにわかった。


「私のこと、好きになってよ」


「…………」


「そうしたら、私はゆうに酷いことをしなくて済むんよ」


嘘でも良いから好きだと言って欲しい。


「…ご、めん、…」


謝罪の言葉なんかいらないから、愛の言葉が欲しいんだ。

彼は涙を流して謝った。
その姿に加虐心がそそられる。


「壊されても文句言わないでね?」


手に入らないものは壊してしまえば良い。
壊したからといって私のものになるわけじゃない。
だけど他の誰かのものにもならない。


ゆうがのものにならないのなら、誰かのものになる前に壊してあげる。



End.

ヤンデレなグレイシア。

某茶会で書いたものに加筆修正したものだったりする。

でも書いたはいいけど、ヤンデレは好きだけど加虐のヤンデレはあまり好きではなかったり。



今度は依存型のヤンデレで書きたい。

相互依存萌え。



っていうか悠×奏じゃないっていう。

でもそんなのも、まぁ、いいんじゃないですか。


090818

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