甘い2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・簡単に準備して、それから甘すぎるココアの入ったカップを彼女に渡す。
カップは彼女が気に入っているピンクの奴、だ。
俺は普通に白いカップ。コーヒーの黒が白に映えて、なんだが綺麗。
「…ゆう、よくそれ飲めるよね」
「ん?」
「苦くないん?」
コーヒーにミルクも砂糖も入れない俺を信じられないと言う表情で彼女は見ている。
俺からしてみれば、チョコレートとココアってどんだけだよ、って感じなんだよ。
「苦いけど、それが美味しい、というか」
「ふーん。ゆう、一口」
カップを渡そうとして、固まる。
唐突に触れる唇。
「…は、」
「苦っ!ほんと苦っ!ゆう、これ体に悪いって!」
「…甘すぎるお前に言われたくないね」
一瞬、たった一瞬触れただけなのに甘いとわかった。
それこそ体に悪いんじゃないだろうか。
ふと見れば、奏はなにやら少し不満そうな顔をしている。
「どうかした?」
「…普通、彼女からの不意打ち喰らったら赤くなったりするもんじゃないの?」
「あー残念だね、その程度のこと俺には効かないよ」
「ちっ」
悔しそうな顔で睨んでくる奏。
あーあ、なんでだろうな
甘いムードもあったもんじゃない。
END.
甘くさせるはずだった
だったんだ、うん
でも後悔してはいない
080912
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