bout portant 3
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ぶるりと体を震わせる奏に、それみたことかと彼女の背後から大胆に開け放されたカーテンを動かし隙間を細くする。
そして。
「これぐらいでも十分見えるでしょ。奏が風邪ひいたら面倒見るの俺なんだから…」
「ちょ、待つし!何、ごく自然に……!」
そのまま毛布ごと後ろから抱きしめ、とかいう少女マンガみたいな展開に持っていくのは俺としても非常に恥ずかしい。
けれど、さっきの仕返しだ。
「…もう寝る」
「外見るのはもういいの?」
「ん、いい」
だから早く起きて一緒に遊ぼ。
そう言ってぐるぐる巻かれた毛布を解いていそいそと布団の中へ入っていく。
「早く入るし、カイロ」
「俺はカイロですか…」
俺の方が体温高いしその言い方も当たっているといえば当たっているが。
布団の中に入ればまた奏にぎゅうと体を引き寄せられる。
「あのさ、かな、」
「うっさい、黙れ、私は寝るんよ」
もう少し離れて、と言うはずがそう言われてしまえば何も言えず。
仕方ない、赤くなった頬に免じてもうこのまま寝ようか。
END.
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