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nociw2


「俺の願い、気になる?」


「別に」


7月7日だから、どうしても一緒にいたかったから、一緒にお願いをして欲しかったから、わざわざ町にまで連れ出したなんて言ったら、この子はどうするかな。

夜はいい。
何を言っても許されるような気がするから。
暗闇が全て隠してくれるから。


「織姫と彦星はきっと、俺の願い叶えてくれないだろうな」


「なんで?」


「自分が叶えたくて叶えられない願いを、他人に叶えてやる奴なんているか?」


「少なくとも私は叶えてやんないし」


「でしょ」


まぁ奏が人の願いを叶えるなんて、それこそ神頼みが叶うよりありえない事だと思うけど。

既に月が主役となった空を仰ぐ。

天高く流れる天の川。
星が流れて夜空を横断する川。

愛し合う二人を引き離して、永遠なんてないんだと主張する、川。


「天の川って泳げないのかな」


「そもそも宇宙空間を生身で泳ぐなんて無理な話だし」


「だけどそんなに織姫が好きなら、彦星もそれくらいできそうだけどね」


「そんなに好きじゃなかったって事じゃね?」


「だったら、年にたった一回しか会えないのに、その日までその人を待つなんてしないでしょ?」


「そんな素晴らしい愛を貫いているように見える自分達に酔ってるんだし」


「そんな辛口な…」



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