Vanilla | ナノ




おまけ


「じゃ、選ぶし」


そう言って奏が見せたのは三本のボトルだった。ラベルの表示からそれらがチョコレートソースだって分かる。

茶色いボトルがチョコレートソース、白いボトルがホワイトチョコレートソース、ピンクのがストロベリーチョコレートソース。


今日はバレンタイン。
彼女が、ある地域では女から男にチョコレートをプレゼントするっていうのを聞いたからあげる、と言ったのだが(彼女のことだからまともな物はくれないだろうと思ってた)。


「それにしたってしょぼくない?チョコソースって」


まだ板チョコのほうが固形の分マシだとこぼすと奏は頭が可哀想な子を見る目で俺を見た。


「馬鹿ゆう。勘悪いし」


いきなりの悪口にむっとした。


「なに、喧嘩売ってるの」


なら買うよ、と俺が口にする前に、彼女は茶色いボトルの蓋を開けた。

それを傾けて、あろうことか自分の指にかけた。
チョコソースにまみれた指をほら、と俺の口元に持ってくる。


「チョコっていったらチョコレートプレイに決まってるし」


「決まってない!!奏の常識は絶対常識じゃない、だからその「当然だろ」って顔止めてよ!」


「なにさ、アブノーマルに興味あるくせに」


「ないよ!普通でいいんだよ、普通で!!」


「若いんだから何でもチャレンジ精神持つし」


「変態世界を開拓するつもりは毛頭無い!!」


「ごちゃごちゃうるさいし。舐めるか舐めないか、どっち」


「う…」


ごくり、と唾を飲み込む。目の前に差し出されたチョコレートソースが世界で一番甘美なものに思えた。

舌を、伸ばす。

舐め取った味はくらくらするほど甘かった。




「で、チョコと白チョコと苺どれにする?
オススメは苺。体にかけるとなると茶色いのは毛に紛れるし白いのは精液と混じって分かりにくくなるから」


「ねえ、今日一日でいいから黙っててお願いだから!!」




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ごめんなさい、なんか色々ごめんなさい。

やっぱりバレンタインっていえばチョコプレイでしょう。


090309

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