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白く素直な想いを5


次の瞬間には彼女の手は離れて、またじっとこちらを見つめる。


「ゆう、不安全部言うし」


「…はい?」


「だから、不安を全部、言え」


命令ですか。何でそんなに偉そうなんですか。拒否権は存在しないんですか。


というか、ね。

(そんな恥ずかしいこと、言えないでしょ!!)



「いや、奏、無理」


「あ、じゃあさっきのヤキモチの理由でいいし」


何が何でも言わせるのか、こいつめ。


でも、くすりとも笑わずじぃっと俺を見る目は、ジョークとか誤魔化しとか全部許してくれなさそうで。


これも彼女なりの優しさかと思い、仕方ないから言っていく。



「ただ、さ」


ただ、奏があんまり楽しそうに笑うものだから。

そんなに楽しい時間だったのかなぁ、と思って。



「その楽しい時間を一緒に過ごせなかったのがほんのちょっと、悔しいな、と…」



思い出し笑いにさえもやきもちを焼いてしまうのは、本当にわがままだなぁと自分で思うんだけど、でもこればっかりは、どうしようもない。



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