白く素直な想いを4
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「でもさ、言わないと不安だったりとか、聞かないと怖いこととかって、奏にも「ない!」
「即答かよ。少しは考えなよ!」
(ああもう俺ばっかりかよ!)
頭が痛い。
頭を押さえた俺を横目に見て奏は。
「不満は、あるし」
不満はあるのかよ。
とりあえず心の中で突っ込みを入れておこう…。
でも、と彼女は続ける。
「不安はないし」
「…本気で言ってるの?」
それって俺結構甘く見られてるよね。
(まぁ確かに奏以外は考えられないんだけど)
「ゆうが、手、離さない限りやし」
意地悪そうに笑って、ほら、と手を伸ばす。
「私を不安にすんのもしないのも、ゆう次第ってこと」
「…それは俺だって一緒だよ…」
その手を取って、自分勝手な、と呟いた俺の顔を見て奏は、噴き出した。
「ちょ、ゆう、何照れてるん!こんくらいで!」
あーはいはい。どうぞ好きなだけ笑ってくださいね。
いいよ、もう不安はないから。今はもう十分だから。
(だって、ずっと隣にいてくれるでしょ?)
ざわめきが戻ってきて、さっきの不安は何処へやら。
触れている手から感じるぬくもりが、奏が近くにいることを教えてくれる。
(ただそれだけが、今は嬉しい)
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