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白く素直な想いを3


俺はどうも自虐的なところがあるな、とよく思う。
前に誰かに言われたけれど、本当に今更気付いた。

自分が言いたくもないことを言って、聞いているんだから。



言ってから、彼女は何も言ってこない。

(てっきり怒鳴るか、クッションを投げつけてくるか、もしくはシャドーボールを乱発してくるかと思った。)


見れば怒っているようにも見えるが、悩んでいるようにも見える。


(あれ、俺の言ったこと、まさか当たってた?)




「ゆう、さぁ、」


彼女は少し考え込んでから、呟いた。


「たまに理解できないこと、言うよね」


それ本気で言ってるん?と聞いて、じっと俺を見つめてくる。



今まで周りにあったざわめきが急に遠く、自分の心音だけが近く、早い。


(やばい、)


奏が遠く感じる。近くにいるのに、手を伸ばせば届くのに。


(もう、触れられない気がする)


(コワイ)




「奏、は」


どうにかして繋ぎとめなきゃ、そう思いとっさに出た言葉。


「俺のこと、好き?」


奏の問いには全く答えず、俺はそう言った。


さすがに奏も呆れた顔をした、というか、若干面倒くさそうな顔をした。



それからため息ついて、あのさ、と。


「ゆう、そんなんいちいち聞くことじゃなくね」


「俺は奏が好きだよ」


「ゆう本当意味わかんないんだけど。昂輝くんと一緒にいればいいとか言うし、いきなり好きとかなんとかー」


「俺だって意味わかんないよ」


だってこんな嫉妬深い、まるで俺が奏の彼女みたいだ。



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