眠れぬ夜3
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奏かなぁ、と呟けば、はぁ?何が?と奏。
いやね、と思ったこと全部言ってみれば、はは、と笑われる。
その笑いは馬鹿にしたものなんかじゃない。
上擦った声からして、きっと照れているんだろう。
「私の世界にはゆう残らんかったりしてね」
冗談めかして彼女が言う。その声が好きだと思う。
「それは酷いな」
俺の反応に意地悪そうに笑う。その表情が好きだと思う。
(一つずつ好きだなんて思ってたら、キリがないけど)
ぼふと腕の中に飛び込んできて、まぁ冗談、と奏が呟いた。
(この体温が好きだし、彼女のしゃべり方が好きだし、彼女の態度が好きだ)
一つずつ、何かを嫌いになっていったとしてもきっと最後まで奏は変わらないだろうと思うんだ。
それだけは揺るがないと思うんだ。
(だってこの気持ちは、ほんとう、だから)← | →
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