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お菓子とお化け2


「俺はお菓子はいらないよ」



さっきとは逆転して笑顔に戻った奏は、顔を近づけて、ちゅ、と俺の頬に軽く口付ける。
悪戯が成功した子供みたいな笑みを浮かべていた。



「これでゆうは私にくれるお菓子はないし」




だから、悪戯。




呟くと、またにこにこと嬉しそうに笑う。




子供みたいな言い分に腹が立って文句を言う。それでも知らんぷりするものだから、また押し返す。



「奏、お菓子ならちゃんとあるよ」



にっこり微笑んで、今度は逆に奏を引き寄せ飴玉を与えてやる。もちろん、口内で思う存分舌を絡ませた後で。



「……っっ、」


「ね、ちゃんとお菓子あげただろ?」



そう言って笑えば、顔を真っ赤にした奏にクッションを投げつけられた。



「あ、ありえんありえん!!ばかゆう!!」



投げつけられたクッションの上からぼふぼふと叩かれ、痛い痛い、と痛くはないけど言う。



「ほんっと、ありえん」


「ごめんごめん」


「来年、チョコケーキな」


「…それってお菓子?」


「いいから!!来年はチョコケーキ!!それにココアも!!
で、来年もその次もそのまた次も、ゆうは私にお菓子渡すの!!」



はいはい、と笑えば、彼女はまだ顔を赤くしてもう一度、ばかゆう、と言った。






どうやら来年も、その次も、そのまた次も、一緒に過ごせるらしい。



END.


→あとがき



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