そんな君に滅法弱い3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・笑いが堪えきれず、ぶはっと二人して噴き出した。
「あ、っは!ゆう、馬鹿じゃん!!馬鹿馬鹿馬鹿!!」
「か、奏もねっ!ふはっあはははは!!」
いつも考える事が他の人と全然違う。
傍に居るのに気持ちがまったく掴めない事も、今なら納得。
(だってこんなに彼女は天才的で、子供の脳みそのままなんだからさ!)
「ど?ど?私の立場になった感想!!」
「あー、これは暇だ。暇だね。俺が悪かった。」
「だしょ!?暇なんよ!ゆう本読んでるとほんっと暇!!」
それを伝える為だけに、面白くない本読んでたのか、我慢してずっと、黙っていたのか。
どうして変なところに頭が回って、変なところを頑張るんだろうか。
でもその無駄な力が、全部、愛しい。
「あー、ほんと長かったー。ゆう全然気付かないし」
「いやいや、気付かないって。俺の真似してるなんて。ていうか俺あんななの?」
「えー、そっくりだし。あんなだし」
本を読んで奏を放っておいてる俺、ってあんななのか。
うーん、と真剣に考えてみたり。
もしそうなら改善しなければ。
「てか真似といえば、ゆう、私の真似ヘタ過ぎ!!」
「え、そう?似てると思うけど」
「全然ダメ!私ゆうのこと『悠』って呼ばないし、二人きりん時は!!」
「ちょっと待って、違いがわかんないんだけど」
「はぁ?何でわからんの!漢字とひらがなの違いだし!!」
そんなの分かるか、と言いつつ、そんなもんなのか、と納得。
「てことでー、ゆうはこれから本読むの禁止ー」
子供みたいな発想をもつ天才的な、俺の大事な大事なお姫様。
子供のような暖かい体温に幸せを感じながら、思いきり抱きしめてやった。
End.
→あとがき
← | →
[
TOP ]