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zimno 2


不明瞭に途切れた言葉の代わりに、頭をかいていた手を止めて奏はまじまじ悠の顔を見つめた。

大きな瞳からみるみる眠気が掻き消える。
代わりに浮き立つ怪訝な色。


「…なあ、ゆう」


「ん?あ、もう洗顔は終わったよ、ごめんね」


「じゃなくて…、あー…まあいいし」


半端に話を畳まれた。
それに気を取られるより、とにかく布団、とその場を離れようとする悠の背に、奏が声をかける。


「今日の朝ご飯、なに」


まるで子供のような質問に、ほほえましいやらうらめしいやら複雑な気持ちになった。
この子の前で体調の悪いことを悟られてはならないと気張るせわしさ。

まだ考えてない、とだけ投げて返した。



布団を片づけに戻った自室で、枕をとろうと屈んだとたんに足の力が抜けた。
膝をしたたかに寝具に受け止められて、目元がくらくらする。

ひとつひとつの動作をなだめるようにやり過ごしながら、座り込んだまま緩慢に掛け布団を畳む。

奏の言葉が頭をぐるりと駆けた。

まず。
まずは。

鍋に水をはって昆布を放り込んで、予約をしておいた炊飯器のご飯を混ぜて、そして、…そして、

顔を俯け、やがて頭を低く垂れる。

無意識に胸元に手がいった。
裏側でなにか、まぜこぜになりながらひっくり返っているような気がする。

怪しい雲がたちこめて、息苦しくしめつけられている。



「あーさーごーはーん」


思いがけず近い距離から声がして、悠は薄く視界を開く。


「…かな、」


「朝ご飯は」


いつの間に部屋に滑り込んできたのか、奏は悠に相対する格好でそこにしゃがみ込んでいた。



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