正しさと優しさの不一致 1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ライムの笑顔がまた昔に帰ってしまった。
理由が分からないまま1日が過ぎようとしている。
朝、ライムに気持ちよかったかと言われ、俺はどう返していいのか分からず、だが正直によかったと頷いた。
そんな俺にライムは満足そうに笑って言ったのだ。
またシようね、と。
この言葉は行為を嫌がるそれには聞こえない。
でも、確かに彼が変わってしまったのは行為の後だ。
もし何か原因があるとしたらそれしかない筈なのに、そうじゃないのか。
じゃあ何なんだ。
相変わらず嘘の笑顔を振りまくライムに周りは気付かないようだ。
俺はひたすら考える。
考えて分析し答えを導き出すのは得意なのに、何故か今回はでてこない。
分からない、分からないよ、ライム。
君に聞けたらどんなに楽か。
だけど、とても怖くて聞けないんだ。
こんな調子だからもちろん授業も散々だった。
クラスメートが俺にほんとにザクロかとかすっとぼけたことを聞いてきたが、相手をする気にもなれない。
ライムが授業が終わる毎に俺にどうしたの、調子悪いの?大丈夫?と聞いてくるが俺は何も言えずに笑って返すだけ。
変わらず優しいライム。
…だけどそれは、君の本当なのか?
俺は教室の机に突っ伏したまま考える。
昨日、ライムを抱いて彼が男に慣れているのが分かった。
ライムは初めてではない。
では誰が?俺とライムが付き合い始める前に、ライムは誰かと関係を持っていた?
付き合う以前にライムはもう体を誰かと交えて…?
いや、そんなはずない。
そんな幼い体に負担をかけるようなこと、ライムを好きならばしないはず。
俺ならばしない。
…じゃあ、もしかしたら。
俺と付き合い始めてから?
もしかして、他の男とひっそり会っていた?
好きな奴が他にいた…?
…いや、ありえない。
だって俺とライムは四六時中一緒にいたんだ。
それにライムは俺といる時、あんなに幸せそうだったじゃないか。
なのに、何故。
本当に他に男が…?
そこまで考えて俺は腕に爪をたてた。
悔しい、悔しい。
ちくしょう。
こんなに好きなのに。
どうして信じられないんだ。
教室でクラスメートと話すライムは、やはり昔の笑顔のままだった。
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