巡り巡って現実 6


次の日。
いつもの習慣で起床時間に目が覚めた。

隣で眠るライムのふわふわとした毛が愛しくて、思わずぎゅっと抱き締めた。
小さくみじろぐライム。

まだ寝ていたいだろうが、生憎今日は授業がある。
可愛そうだが起こさないと。

それに体も心配だ。
受け入れる方が負担が大きいと聞くし、自分は昨晩、恥ずかしいが必死であまりライムを気遣ってやれなかった。
きっと辛かっただろう。
今日は俺がライムを助けてあげなければ。

そう思いながら軽くライムの頭を撫でてやると、ライムがゆっくり顔を上げた。
そしてふわりと微笑んだ。


「おはよう、ザクロ」


その微笑みに、俺は全ての動きが止まった。
何も考えられなかった。

なぜなら。

…目の前にいたのは、あの、出会った頃のライムだったから。

その時。
ふいに感じたあの違和感を思い出した。
ライムは、行為に慣れていた。
男を喜ばせる術を知っていた気がする。

そして何より。
彼は、最中に一度も自分の名を呼ばなかった。

あの上っ面の笑顔を俺に向けるライムに、何も言葉が出なかった。


俺は、俺達はただ、愛が欲しかった。
愛が欲しくて欲しくて、溜まらなくて。
ただ、それだけで。

俺はどこで、間違ってしまったのか。

その問いに答えるものは、誰もいない。


2話 END.


111125

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