巡り巡って現実 4


ダメだ、見ちゃだめだ。
見るな。

分かってるのに、目が離せなくて。
しかも。


「キス、して…?」


そんな風に強請られては。
俺はゆっくりと、触れるだけの口付けをライムに施した。
でも最中にうっすらと目を開けて盗み見たライムが、とても幸せそうな顔をしていたから。

気付いたら、俺はライムと舌を絡めて、深く口付けていた。
今までは我慢できなくなるのを恐れて軽く触れるだけだったからこれはお互い初めてだった。
初めて味わうライムの口内は熱くて甘くて。

唇を離しライムを見れば、怯えたように俺を見ていた。
そんな姿にさえ俺の欲は膨れた。

もうダメだ、触れたい。
ライムに触れたい、抱きたい。

好きだ、ライム、好きだ、好き、愛してる。
感情が心から溢れ、流れていく。

…ああ、もう、ダメだ、止まらない。
ごめん、ライム。
許して。
告げさせて。


「…ごめん、もう、限界なんだ…。ライム、俺、ライムを抱きたい」


その言葉に、ライムは目を見開いた。
それは何を意味するのか。

何も言わないライムにさっきまでの高揚感が消え失せていくのが分かる。
ああ、やっぱり、駄目だった。
早まった。

でも、好きなんだ。
好きだから、触りたいんだ。
ライム、ライム。

あの日から、初めて受け入れられる心地よさを知った自分の心は、浅ましくまた受け入れられることを望んでいる。

ふいに、ライムが俺の肩を押した。
それは、拒絶の意。

ああ、嫌われて、しまった。
ライムに。

…もう側にさえ、いられなく、なってしまう。



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