巡り巡って現実 1


季節外れの編入生、ライムはいつもにこにこしたやつだった。
噂では、一つ上のキク先輩にお世話になっているらしい。

この時期に来るということはそれなりに何かあってのことだろうと思ったが、俺には関係ない。
他人なんて知らない、自分が一番だからだ。

俺はいつもそう教えられた。
他人など、邪魔なだけ。
利用するだけの生き物だと。

だから俺は入学してからいつも一人だった。
周りになんと言われても気にならなかった。

それはあいつが来ても同じ。
いつものように一人で行動するつもりだった。
なのに。


いつからか、誰にでも笑うあいつの目が、ほんとは笑ってないことに気がついた。
誰にでも、おんなじ笑顔で笑うことに。

それはよく言えば平等、悪く言えば…。
誰のことも何とも思っていないのだと分かった。

それから気付けばあいつを見てた。
元々俺は人間観察は癖のようなものだったから、すぐにあいつがほんとは他人などどうでもいいと思っていることに気がついた。

なのに人から必要とされたがって無理に笑ってる。
何故だかそれが、無性に腹がたった。


だから、放課後。
珍しくあいつと二人になった時、言ってやった。


『笑いたくないなら無理に笑うな、イライラする』


思った以上にきつくなった自分の言葉に思わず眉をしかめた。

何でだろう。
何でこいつにこんな態度とるんだろう。
こんなやつ、どうだっていいじゃないか。
ほっとけよ、自分。

だけど、少し興味があった。
いつも笑ってるこいつでも、こんなこと言われたら流石に怒るだろう。

俺だったらきっとぶちギレる。
相手に掴みかかるだろう。
こいつはどんな風にキレるのかな。
見てみたい。

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