恋愛論的ミスマッチ 4


食べ終わり食器を片付けようと立ち上がると、ルクシオは慌てて私から食器を取り上げた。


「いいって!俺が付き合わせたんだから!」

「ですが…」


ただ座っているだけというのも心苦しい。
確かに彼の言う通り誘ってきたのは彼の方だが、別にいやいや付き合わされたわけでもない。

むしろ、願ってもないことだった。
振られたばかりで少し落ち込んでいたのかもしれない。

あの別れ話の後、特に用事もないので家に帰ろうとぼんやり歩いていたところ、たまたま街に買い物に出ていた彼と出くわした。
彼は私が暇なことを確認すると、だったら俺の新作試食してくれないか!と誘ってくれたのだ。


「座ってるだけと言うのも。腹ごなしにお手伝いさせてください」


私より少し小さな彼からまた食器を取り返す。
力だけなら私の方が強い。
あっさりと手放された食器を片手に流し台に立つと、ルクシオも布巾を手に私の隣に立った。


「そんな気を使うことないのに。ほんと、おまえってソツがないよな」

「…?」


洗った食器を手渡すと、彼は心なし唇を尖らせて私を見ていた。


「今日だって俺が無理に誘ったようなもんじゃん。彼女と予定入ってたんじゃねえの?」

「暇だって言ったでしょう?それに…」


思わず苦笑いになってしまう。


「あなたに出会ったのは、その彼女に振られた直後ですよ。予定なんてあるわけがない」



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