恋愛論的ミスマッチ 1


私はつまらない男だ。

つい先ほども「本当におもしろくない男」と、付き合って一ヶ月にも満たない彼女に吐き捨てるように言われた。
いや、彼女ではなく「元」彼女か。

さっきのあれは別れ話だろう。
立ち去る後姿は一度も振り返ることなくそのまま人ごみに紛れて消えた。

一ヶ月、私にしては長く持った方だ。
いつもは大体2週間くらい、大抵さっきの子と同じようなことを言って去って行く。

付き合うきっかけはいつも向こうからだ。
頬を染め緊張に上ずる声で「付き合って欲しい」と懇願してくるものもあれば、妖艶に微笑み腕をからませてくるもの、泣きながら「愛してるの!」と絶叫するもの、皆それぞれだ。

それぞれ…違うのだけれど。皆同じでもあった。
美しいのだ。


恋をする者は皆等しく輝いている。
私はいつもそれに見蕩れる。
あまりにも眩しくて、そんなキラキラとした気持ちを捧げてくれることが嬉しくて。
そして、……少し切ない。

この輝きはすぐに失われてしまうことを私は知っている。
最初は皆宝石のように輝いた瞳を私に向けてくれるのに、その輝きは私と居れば居るほど急速に失われてしまう。

私がそうさせるのだ。

私がつまらないから、彼女達の輝いた瞳はまるで道端の石でも見るような色あせたものになっていく。
そのうち私は本当の石ころのようになり彼女達の瞳に映らなくなっていく。

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