僕が僕であるために 6


ぎゅうっと布団を掴む。
まるで心臓を切りつけられたような痛みに、息が出来なくなった。
下手をすれば泣いてしまいそう。

変わらず僕を見つめるザクロ。
…僕は、考えることをやめた。


…もういいや。
ザクロがしたいなら、すればいい。

もういい。
体が目的なら。
すればいいよ。

君が必要としてくれるなら。
僕はどんなことも我慢するから。

僕はザクロの肩を押し返してゆっくり上半身を起こした。
不安げに僕を見るザクロ。
そんな顔しなくても大丈夫だよ。

僕は夜着を脱ぎ、下着も外してザクロの前で足を大きく開いてみせた。
僧達にしてきたように。

ザクロが驚いてる。
僕は出来るだけ色っぽく笑った。


「…いいよ、ザクロ」


その言葉に、ザクロが唾を飲んだ。
僕の姿を凝視するザクロ。

同じだ。
あいつらと。
ああ。

…君だけは、信じたかったのに。

僕に手を伸ばすと、ザクロは性急に僕を押し倒し首に吸い付いた。
僕はザクロを見ずに、天井の更に向こう、どこか遠くを見る。


もういい。
好きなんて、いらない。
誰も信じない。

キモチよく、なればいい。
ザクロもヨくしてあげる。

それでいいんでしょ?
キモチよくなりたいんでしょ?


…好きなんて感情、僕はもう、いらないよ。


僕の体にむしゃぶりつくザクロを見て、どうにでもなれ、と僕は四肢を布団に投げた。



1話 END.


110805〜110925

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