僕が僕であるために 3


それから。

何がどうなったのか、僕はサーナイトさんの家に引き取られた。
そこは小さなお寺だったから、僕らを抱く風習はなく、ほんとの家族のように接してくれた。

でも、僕は怖かった。
優しさを信じるのが。

それに心は麻痺したままで、人なんかどうでもよかった。
キクさんといるのは楽しかったけど、それだけ。
誰も信じない僕にサーナイトさんはこれも経験、と言ってキクさんと一緒に学校へと行くことを勧めた。


そして、僕が11歳の終わり頃。

僕は学校に入った。
幸い、拾われたお寺で読み書きを教わっていたため問題なく編入できた。

そこで出会ったたくさんの同い年の子。

慣れない僕にみんながみんな優しかった。
でも僕はその優しさが信じられなかった。

結局裏には何かあると思ってたから。
僧侶達もみんなそうだった。
最初は優しかったのに、僕を弄んだ。

人なんかどうでもいい。
そう思うくせに、人に必要とされないのは怖くて。
笑いたくもないのに毎日笑ってた。


だけどそれを、隣の席に座るイーブイの男の子、ザクロに悟られた。

笑いたくないなら無理に笑うな、イライラすると彼は僕に吐き捨てるように言った。
正直びっくりした。

彼はいつだって一人を好んでいた。
一言で言えば変わり者だった。

普通イライラするとか言われたら怒るんだろうけど、僕は嬉しかった。
だって、それは、僕を見てくれたってことだから。
本当の僕を、見抜いてくれたってことだから。

僕はザクロに、必要とされたいと。
なぜか強く思った。


そのことを言うと、ザクロは一瞬びっくりして、笑った。



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