僕が僕であるために 2


泣き叫んで、嫌だって、怖いって言ったのに。
聞いてくれなくて。
何度も何度も犯された。

痛かった。
悲しかった。


それから、僕のような目にあった子から話を聞いた。
ここでは11歳になると僧侶達に女の代わりとして夜伽をさせられるのだと。

それは珍しいことではない。
しかも、抱く僧侶は毎回違うらしい、と。


最後にその子は言った。

ライムは可愛い顔してるからきっと人気が出るよ、と。


僕は手足が震えた。
彼が、僕を拾ってくれたのは、これが目的だったのだと分かった。
頭が沸騰したみたいに熱くて、心がぐちゃぐちゃになった。

だけど。
僕は、捨て子だから。
誰からも必要とされずに捨てられた子だから。
そんな僕を、体だけでも必要としてくれるなら。


そうして、僕は毎晩代わる代わる僧侶達のおもちゃになった。
無理矢理の行為は痛くて、苦しくて、悲しかった。

必要とされてるはずなのに。
心は決して、満たされることはなかった。



1ヶ月程経ったころ。
僕は高熱を出して倒れた。

幼い体にこの毎夜に及ぶ情事はきつかったようだ。
だが僧侶は医者は呼ばず、医者の心得のある知り合いの僧侶を呼んだ。

同業なら稚児にも理解はあるだろうから、深くは立ち入らない。
都合のいい相手だったのだろう。

優しそうに笑う僧侶のサーナイトさんの後ろに小さな影。
僕と同い年ぐらいのキルリアの男の子。

話を聞けば一つ上で、キクというらしい。
今は長い休みだから帰ってきているけど、彼はいつもはここから遠く離れた場所で勉強しているという。

えらいなぁ。
いいなぁ。

素直にすごいなと思って、羨ましかった。
彼の世界は、寺の外にもあるのだ。

1日で仲良くなった僕等。
様子を見るということでキクさん達は寺に止まることになった。

だけど僕はそれでも夜中部屋を抜け出して僧侶の待つ部屋に向かおうとした。
それをサーナイトさんに見つかって止められた。

駄目、行かなきゃ駄目。
じゃないと僕がいる意味がない。
また捨てられる。
嫌だ、嫌。

そう繰り返す僕に、サーナイトさんはとても辛く、悲しそうな顔をしたのを覚えてる。



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