食べたい可愛さ1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『オレもカケルがいい』
そう囁いたチナの言葉が信じられなくて、オレは固まってしまった。
チナはチナで、きつくオレにしがみつき、顔をオレの胸に押し付けている。
「…ほ、本当……?」
マヌケなほど長い時間を置いて、問い返す。
「………っ」
チナは顔を押し付けたまま、小さく頷いた。
(本当に本当?)
(夢じゃないの?)
オレはまだ信じられない気持ちで、ぼぅとしてしまう。
(オレがいいって…)
(オレがいいって、)
(つまり、そういうことだよね?)
(つまり、オレと番になってもいいってことだよね…?)
そう思ったら、ますます心臓がドキドキしてきて、腕の中のチナを意識しだす。
絶対、チナに聞こえてるよね、心臓の音…。ちらりと横目でチナを伺えば、間近に細い首筋が目に入る。
「………」
無意識だった。
思わずその首筋に、指を滑らせていた。
「……っ」
チナの身体がびくんと跳ねる。
その反応に、一気に熱が全身を駆け抜けた。← | → [ TOP ]